受動攻撃性パーソナリティ障害

社会的な場所で、簡単なことができないとか、放棄したり、約束にしょっちゅう、あるいは毎回遅刻してきたりする人や、
「気に入らないなら直接伝えたらいいのに!」と思うような態度を取る人はいませんか?

そういった特徴のある人は、受動攻撃性パーソナリティ障害の可能性があります。ある意味病院での治療が必要になります。

受動攻撃性につながる原因として、生い立ち、環境、性格要因などがあると言われています。

パーソナリティは、その人の個性であるため、どこから正常でどこからが異常なのかという線引きをすることが難しいのですが。

DSM-4-TRに掲載された研究用の基準案があります。

A. 適切な行為を求める要求に対する拒絶的な態度と受動的な抵抗の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4項目(またはそれ以上)によって示される。

  1. 日常的な社会的及び職業的課題を達成することに受動的に抵抗する。
  2. 他人から誤解されており適切に評価されていない不満を述べる。
  3. 不機嫌で論争を吹っかける。
  4. 権威のある人物を不合理に批判し軽蔑する。
  5. 明らかに自分より幸運な人に対して、羨望と憤りを表現する。
  6. 個人的な不運に対する愚痴を誇張して口にし続ける。
  7. 敵意に満ちた反抗と悔恨の間を揺れ動く。

B. 大うつ病エピソードの期間中にのみ起こるものではなく、気分変調性障害ではうまく説明されない。

(出典:医学書院『精神障害の診断と統計マニュアルⅣ』)

では、こういう人に出会ったら、どうするか。

自分の職場や学校などでも受動攻撃性パーソナリティ障害の疑いの人がいる場合は、付き合い方を工夫することで大きな影響を及ぼさずに済むことがあります。

例えば、

◎怒りに反応しない

受動攻撃性パーソナリティ障害の患者が他者に対して攻撃的な態度を取るのは、その態度を見て怒ったり困ったりすることを望んでいるからといえます。
そのため、怒ったり困ったりする態度を見せず、毅然として対応することで影響を抑えることができます。

◎求める成果を明確にする

本人に対してどんな仕事を望んでおり、どういったものをいつまでにしてほしいという期待することを事前に共有こうする対応が必要ですが、やってもダメだという事も多くあります。

◎率直に話せるようにする

不平不満を率直に意見できない環境では、受動攻撃性がより強くなってしまいます。
風通しのいい組織で、役職に関係なく意見は自由にできるような環境を作っていくことが重要なのでしょう。

治療
脳の状態を診断するQEEG検査(定量的脳波検査)できる病院へ行って診断してもらう。抗うつ剤の薬などが出る場合があります。

TMS治療(磁気刺激療法)というのがあります。パーソナリティ障害自体にTMS治療に治療が有効であるという論文が2019年に発表されています。(J Psychiatr Pract. 2019 Jan;25(1):14-21.)